どうも、まっくす( @maximum_80)です。 いよいよ、7年目となるJPHACKSが今年も開催されます。
開催前ですが、無事に400名を超える全国の学生からエントリーしていただき、コロナ禍で心配されたスポンサーも無事に獲得し切ることができました。。。(一安心)
また、今年は特別審査委員に昨年に引き続きTommyKの鎌田さんや、天才ハッカー・ソフトイーサーの登大遊さんもお招きし、とても豪華な顔ぶれとなっているので、今から開催がとても楽しみです。
今年は完全オンライン開催ということもあり、多くの新しい取り組みがあるのですが、こうやって開催準備していると、僕はある一人の学生のことを毎年のように思い出すので、開催前ですが、そのことについて今日はブログに書こうと思います。
今から7年前。JPHACKS誕生前におきた、ある学生からの批判
就活生に向けたハッカソンを立ち上げ、某大手就活支援会社と提携し、勢いに乗っていた
今から7年前、僕は当時24歳でした。 JPHACKSが始まる以前も、僕は現在の所属会社でエンジニアの育成・キャリア支援の事業を立ち上げており、その一貫でDMTCという名前のハッカソンを開催しておりました。(今はもうやっていませんが)
某大手就活ナビ会社と業務提携をして、年間に10回ぐらい、スポンサーを集めて、主にエンジニア志望の就活生を対象に「就活前にスキルが身につけられるインターンのような場所として、ハッカソンを開催したら面白いのではないか」というコンセプトのもと、企業と連携したハッカソンを開催していました。
今でこそ、多くの企業や就活支援会社がハッカソン を開催しておりますが、そのハッカソンは当時まだ学生向けのハッカソンとしては数少なく、僕たちは順調に規模を拡大していきました。
とある参加者からの痛烈な批判と炎上
そんな中、僕たちが開催しているハッカソンに、とある学生が参加してきました。
その学生は、当時学生ながらにして、とても素晴らしい開発実績を持ち、プログラミング言語のコミュニティでも有名な学生エンジニアの一人でした。
就活支援という延長で開催していた僕たちのハッカソンですが、彼の考えるハッカソンとは程遠いクオリティのハッカソンになってしまい、結果としてはブログに描かれるほどの痛烈な批判を受けてしまいました。
(ブログ内容に関して、ご本人からの掲載の承諾を得られなかったので、リンクは割愛いたします。)
彼は発信力がとても強い方でしたので、このブログエントリーは、みるみる業界内に広がり、ついには一部のスポンサーから
「御社の主催するハッカソンには、当社のエンジニアからNGがでておりますので、スポンサーすることはできません」
という形でお断りをされてしまうケースも増えてきてしまい、大きく風向きが変わってしまったこと、自分自身が展開してきた事業に自信を持てなくなってしまったことを今でも覚えています。
批判内容まとめ
ご指摘をいただいたブログの批判まとめると、以下のような内容が書かれていました。
- 個人情報の取り扱いに対して不親切
- 就活支援の一貫ではあるものの、参加者に対して不親切な個人情報の取得条件やその活用方法に対する提示・許諾の取り方
- チーム分けが最適化できてなかった
- 参加者のスキルや開発経験、参加動機にあわせた適切なチームわけができていなかった
- デスマーチ(レッドブル飲んで徹夜しようぜ)を助長する様な雰囲気作りや運営スタンス
- 泊まり込みのハッカソンだった中で、開発合宿の様な雰囲気を漂わせ、現在の働き方やスタンスとは相反するスタンスであった
- 教育内容、フィードバック内容が体系化されていない
細かい指摘を挙げるとキリがないですが、どちらかというと僕たちがハッカソンを開催する上で「技術者に適切な社会に出る上でのスタンスやスキルセット、働き方を意識した上での体系化されたカリキュラムの構築ができていなかったこと」。さらにシンプルにいうと自分たちの事ばかり考えてしまい 「本気で学生の成長を考えられたイベントになっていなかったこと」 のが批判の根本原因だったと解釈しています。
ハッカソンの終了と、JPHACKSの誕生
約2年間拡大させてきたハッカソンを畳むことに
そこから色々とあり、結果としては当時僕たちが運営していたハッカソンはその翌年で開催を終了しました。
一緒に開催を手伝ってくれていたエンジニアOB/OG、メンターの皆さんにはとても協力してもらっていたので、終了するという結果になったのはとても心苦しかったですし、これまで本格的に痛烈な批判を受けた経験がなかったので、勢いで事業成長していた僕は、当時はかなり傷心したことを今でも覚えています。
今となって振り返ってみたら、当時の自分自身が語っていた「エンジニアの成長を支援する」という言葉が、浅はかで・自分自身の力不足が招いた結果でしかないな、と感じます。
同時に生まれたJPHACKS
時を同じくして2014年、当時僕らが開催していたハッカソンの別の参加学生から「東京大学でハッカソンをやりたいって先生がいるから一度話をして欲しい」という相談をもらいました。
そして、僕はある先生と出会いました。 その先生は、サンフランシスコに出向いた際に、テクノロジーを持った学生たちが、学内で行われるハッカソンで技術力を競い合い、そこに集まるインキュベータやファンド、エンジェル投資家から引き合いを受け、スタートアップにつながっていくようなエコノミーに憧れを抱き、日本でも同じ様な仕組みをとることはできないか、と考えていらっしゃる先生でした。
実はこの先生との出会いが、JPHACKS誕生のきっかけです。
そして、2014年に東京大学との開催を運営として支援をして立ち上げたのを皮切りに、翌年には全国5拠点に、そこからみるみる拡大して、あっという間にもう7年目の開催になりました。
過去の自戒と、JPHACKS込めた想い
大学と企業や官公庁と産官学連携でおこなうハッカソンのため、生半可な取り組みではこれまでと何も変わりません。
僕自身がこのJPHACKSを背負って 「イノベータを目指す学生のための甲子園」 を実現するために、当時以下のような想いを掲げ、徹底することを誓いました。
主眼は常に「学生」。彼らへの成長機会の提供を第一に考える
まず、今の組織委員の先生方を含めて、僕たちが終始徹底しているのは「JPHACKSは学生のため」のものであり、常に学生が主役であること、を徹底すること。
ということを心に誓いました。 常に学生ならどのような環境を求めているか、彼らに取ってベストなモノは何かを考え、ヒアリングし、企画に反映させていくことで、多くの学生の成長支援につなげていきたいと考えました。
結果として、ブログで批判をもらっているような個人情報の管理、または製作されたプロダクトの著作権を学生にとって最優先な形式に変更し、また、プログラミング学習支援や技術的な支援をしてくれるテクニカルパートナー、参加学生が求める社会に出て必要な技術やノウハウを提供するLearning Sprintなどの提供につながっています。
主催者自身がロールモデルであること
炎上当時、僕は CODEPREP というプロダクトを運営しておりましたが、ユーザ数はそこそこ伸びていたものの、本格的にマネタイズして、プロダクトマーケットフィットしてビジネスを成功させる、というような経験が全くありませんでした。
それでは結局、学生たちに社会に出て必要なスキル、なんてものは提供することはできないし、納得感も信憑性もありません。
そこから僕は
「社会で求められるソフトウェアを自ら作り上げ、プロダクトで事業をつくり、学生のロールモデルになりたい」
と考える様になりました。
そうして、結局プログラミング領域に熱量があった僕は、
を今のチームでうみだしました。
その過程では、アジャイル・スクラムに関する変化に柔軟な開発プロセスや、チームで生産的な意見のすり合わせ、顧客中心での意思決定をするためのデザイン思考、最速でマネタイズの価値検証をおこなうLeanStartupなどを学び、事業の中で取り入れていくことで、自分自身が、これからのテクノロジーを駆使した事業を創造するために必要なノウハウを身につけなければと考えていました。
そして、おかげさまでマネタイズをすることができ、更にeラーニングアワードなどの外部コンペティションでプレゼンテーションをおこない、賞をいただくような経験*1を経て、このプロダクトは現在では学校教育などでも導入していただける様になってきました。
まだまだ自分自身の経験や成長は必要だと思いますが、この7年間の経験を経て、JPHACKSに参加する学生に体系だったフィードバックを自分自身の経験から話せる様にはなったのではないかな、と思っています。
今なら自信をもっていえる「JPHACKSはエンジニア・イノベータを目指す学生のための最高の成長を得られる場所です」
そうして、毎年毎年、自分自身も組織委員として企画に関わらせていただき、改善を続けてきたのがJPHACKSです。
今年は初めてのオンラインでの開催ということもあり、これまでの知見や経験は生かせないので、不安な要素ももちろんあるのですが、今なら僕は自信を持っていうことができます。
「JPHACKSはエンジニア・イノベータを目指す学生のための最高の成長を得られる場所です」
僕だけではなく、組織委員の先生の方々、スポンサーやパートナー、事務局の当社のスタッフ、全てのメンバーがJPHACKSに参加する学生の皆さんのことを考え、試行錯誤し、最高の場を提供することを目指しています。
僕たちも本気で開催をしていく所存でありますので、参加する学生の皆さんには、是非、大暴れして欲しいと思っています。
是非楽しみましょう。
最後に
僕は、冒頭取り上げた批判のブログエントリーを今でも大事にブックマークしており、定期的に読み返す様にしています。
常に初心を忘れず、自分が何のために事業やJPHACKSをおこなうのか、を問いただすためです。
当時は辛い思いをしましたが、僕はこの出来事から「本気でエンジニアの成長を支援するにはどうしたらいいか」毎日毎日考える様になりました。
この批判がなければ、こうやって奮起して今のJPHACKSにつながっていないかもしれません。
常に意見を伝えてくれる学生やお客様がいることに感謝の気持ちを忘れず、最高のJPHACKSの開催を実現したいと思います。