横文字が多い意識高めなタイトルになってしまいました、新田です。
先日、日本初のカスタマーサクセスのカンファレンスSuccess4が開催されました。
私も「カスタマーサクセス採用の秘訣とは」という会で登壇するために当日参加させていただいたのですが、初めての開催とは思えないほどの盛り上がりでした。
当日、ブース出展をしていたGainSightのGeneral ManagerのDANさんと少し話したのですが、日本には本格的に進出してはいないが、実際に来場者数もサンフランシスコの3倍ぐらい人が集まっていて、この盛り上がりを見て、もっと考えたいと思う、と言っているほどでした。(日本に競合ツールが少ないからチャンスだよって耳打ちしたのは内緒)
登壇では、弊社で実践しているCustomer Railability Engineer組織の話を少しした時に、結構たくさんの質問をいただいたので、今回は具体的に弊社のCREで実施しているユニークな取り組みについてご紹介したいと思います。
弊社のCREが全体的にどのようなことをやっているかは、以下の記事をご覧ください。
プロダクトのCXデータを可視化したい
最高の受験者体験(Candidate Experience)の提供こそ、顧客成功のカギ
そもそもCXとは、Candidate Experienceとは何か、という概念については以下の記事を呼んでください。
【事例3選】「CX = Candidate Experience」を徹底解剖!今「候補者体験」が注目される理由 | SELECK [セレック]
我々が展開しているプロダクトの顧客は、「プログラミング選考」や「プログラミング研修」を実施する企業です。
しかしながら、彼らの成功の判断軸には、エンドユーザである受験者の体験、「Candidate/Emproyee Experience」がとても重要です。
理由はいたってシンプルで
「導入してみたら候補者からの評判が悪く、会社のディスブランディングに繋がってしまった」
となってしまえばお客様は継続的には使わないでしょうし、逆に
「導入したら候補者からスキルをきちんとみてもらえて嬉しい!と言われた!」
というようなフィードバックをいただければ、お客様のブランディングに貢献することができるからです。
私たちのプロダクトでは年間で30万人近くのユーザがプログラミング問題を解いています。 プログラミング試験を用いた技術選考による採用の実施は日本国内では、まだまだ事例として少なく、成功事例も多くありません。 そのため、我々が受験者に最高の体験を提供することを支援することで、プログラミング試験を導入したお客様の成功につなげていこうと、チームとして舵を切りました。
チームのOKRは「最高の受験者体験CXを提供すること」
実際に、プロダクトに関わる、プロダクト/コンテンツ開発チーム、カスタマーサクセスチームの共通のOKRとして
Objective
最高の受験者体験CXを提供すること -受験者が自分のプログラミングスキルを最大限発揮できる環境を提供する-」
KeyResukt
月間の受験者NPS > XXX
を掲げました。(すみません、具体的な数値は伏せさせていただきます)
そして、このスコアを可視化してメンバーに意識してもらう上で、受験者のNPSを取得して可視化するサーベイツール、SatisMeterを導入しました。
CX可視化のために実際にはじめたこと
SatisMeterを導入して受験者のNPSを取得する
受験者がtrackを利用した後に、どのような体験だったのか、どのような感情を抱いたのかを即時的にフィードバックとして回収するために、SatisMeterというNPSツールを導入しました。
これまでServeyMonkeyを一部利用していたのですが、 改めてNPSツールで有名どころの
Delighted – Customer feedback with Net Promoter Score
SurveyMonkey: 世界で最も愛される無料のオンラインアンケートツール
Promoter.io | Net Promoter Score Software and Customer Experience Management
Callexa - Feedback based on Net Promoter Score (NPS) Survey
これらを比較検討した上で、料金的にリーズナブルで、機能的に必要十分なSatisMeterを選びました。
受験後にNPSサーベイを設置
trackでプログラミング試験を受験して提出をすると、以下のような形で画面下にサーベイがポップアップするような形です。
これによって、受験者が試験を提出し終えた直後の心理やフィードバックを獲得すると同時に、NPS(ネットプロモータスコア)を可視化することで、プロダクトの評価をすることが目的です。
NPSをダッシュボードで可視化
取得された結果はサービス上のダッシュボードで確認することができます。毎月のNPSのサマリー、それぞれの個別の解答結果のローデータなど、定量と定性で利用者の心理ロイヤルティを可視化することが可能です。
これをベースに、開発チームへのBacklogへの登録や問題の改善、CSチームのアクションプランにつなげるように試みました。
Slackにリアルタイムで通知する
いちいちサービスにログインをしてスコアや解答結果を確認するのでは、どうしても情報は流れてしまいます。 そこで実施したのがSlackに解答結果を即時反映するという連携です。
Slackと連携するとこのように、まず色で直感的に批判的な意見が多いのか、賛同的な意見が多いのかがわかります。 さらに、コメントも取得できるので、具体的にどうしてそう感じたのか、を一眼に見ることができます。
そして、WeeklyでNPSサマリーもボットで共有してくれます。
※一切の個人情報の取得および共有はしておりません
プロダクトに関わるメンバー全員が受験者体験を見れるようにする
この結果(Slackのチャンネル)を、CSチームだけではなく、開発チーム、営業チーム、マーケチームにも公開しています。
プロダクトに関わる全員で顧客の声を聞ける状態にしました。
そうすると、開発チームが即座に不具合レベルではないUX改善のissueを登録し始めたり、嬉しい感想があったらみんなで喜んだり、営業チームが自社のプロダクトの魅力を顧客の声から語れるようになりました。
CREはプロアクティブに行動するための『司令塔』
プロアクティブに必要なのはデータの可視化
「CSMはプロアクティブであるべきだ!」
こんなことを多くの記事や登壇で聞くことも多いのではないでしょうか。
では、顧客の潜在的なニーズに気づくためには、なにが必要でしょう。ただ闇雲にあてずっぽうにお客様に行動することは、ただのお節介になってしまいます。
適切なプロアクティブなアクションには、お客様よりも先に現在の状態や課題に気づくこと、が重要で、それには「データの可視化」が必須であると僕は思います。
顧客の利用状況・バグの検知だけではなく、顧客体験に必要な心理的データも可視化する
いわゆるサポートエンジニアは、顧客のフロントに立ち問い合わせをうけた技術的なサポートやバグの検知、レポーティングなどが主業務なのではないかと思います。
一方で、CXが重要とされている中で、このような心理的な顧客のロイヤルティやデータを可視化し、顧客担当者に伝えることで「顧客のまだ気づかぬ課題を発見し、先んじて解決方法を提案する」ことがこれからのCSMに求められますし、その基盤となる下地を構築し、CSMを適切なプロアクティブに導いていくCREが今後求められるのではないかと思います。
今回の施策はチーム全体にとって、顧客視点を強化するとても良い施策であったと個人的に感じているので、ぜひ皆さんも参考にしていただき、実践してもらえると嬉しいです。